4.おやつと長セリフと早口言葉
先日、変なやつと出会いまして。
まあ、どーでもいいけど。
今日は今日でボロボロになるだろう。
それは役目なので、当たり前だからいいんだがな。
今日も俺に伸びてくる手は、ある意味心地よい音を人のめったに来ない裏庭のコンクリートの上にひびかせる。
笑い声とその音と呼吸の音。
それだけ。
俺の役目。
のはずが・・・。
「お兄ーちゃあん」
その声がひびいてきた。
幼い声。
あ、まずい。
人間サンドバックな俺と、それの利用者と・・・少女。
最悪のタイミング。
「・・・。何こいつお前の妹?」
いや違いますが・・・。
「へえ?」
俺が口を開いて否定をする前に少女のもとへと進み出でてそいつは吟味するように少女を見つめた後いった。
「けっこーかわいいじゃん。なぁにぃ?おにぃちゃんに会いにき・・・」
先日コンクリートに突っ込んでいった手は、抵抗を考えてなかった顔面にきれいに入ったようだ。
情けをかける気配はみじんもなく、その倒れた体をごろごろとなんかはじっこにころがしていく。
そしてちょうど、この間の俺の血があったところの壁にたてかけた。
ころがされて、汚れた服と意識のあるのかないのかの、うつろな表情とあわせて、そいつはなんとなくいつもの俺のようなのではないかと思った。
「お兄ちゃん!」
くるんっとプチリンチしました的な現場をつくった犯人が楽しそうに、ふりむいて笑いかけてきた。
「おしゃべりしよう!」
さっきの所業はなかったことに!?
「今日はお兄ちゃんが超能力者かどうか、調べてようっと」
そんなに笑顔をふりまくなー!さっきの見ちゃってると笑えなくなって来るんだよ。
なんかその明るく一見健全そのものの笑顔がすごく黒く見えるんだよ。
怖いんだよ。
「そうだなぁ・・・ん」
ポケットに仕込んでいたおやつをもっふりと口にさしこむ。
クッキーだ。
ちょっと落ち着きたいので黙らせるために。
なんか甘いものが食べたくなって昼にもさもさやった残りだが、ゆっくりとリスのようにサクサクとし始める。そのせいで俺の手にクッキーのかけらがかかってくるのだが。
どーでもいいけど。
ポケットに大袋ごと入っていたが、ずるずるとひきずりだされる。
おいしそうにかたっぱしからかじっている。
どうやら落ち着く暇は作れたらしい。
手も開放されたしな。
「お兄ちゃん。なにみてんのー?」
サクサクサクサクと食べこぼす上にしゃべりかけてきた。
・・・うーわー
「あーおしゃべりしたいんだねえ?うんうん、いいよ。おすきなだけどうぞ~」
サクサクサクサク・・・
え?何コレ。しゃべんの?俺が・・・
「えーっと・・・」
「あ、もうないや」
何このナイスなタイミング。ねらってただろ?ねらってたんだろ?
「最後のかけらっておいしいよね」
ざらら・・・、と音がした。
・・・最後の・・・おいしいかなあ?
「ねえねえお兄ちゃん、どうしてにんげんサンドバックなんかしてるの~?どM~?」
役目だからとは言わずに俺はこういった。
「社会へのコーケン」
「ん~?お兄ちゃんがそうしないと何か?」
「なんか他の人がおかしくなる」
「お兄ちゃんはいいの?」
「いいの」
「へんなのぉ~」
ものすごく眉根にしわを寄せている。
「お兄ちゃんがいじめられることでその人を満足させているのだとすれば満足している人はいじめるという行動で満足するちっぽけな存在であり・・・」
つらつらつらつら・・・
「・・・だからそんな人は社会にとって特別じゃない可能性が高いため、そうされるということの意味がないに等しいと言うことはよく分かるだろう。つまり社会へのコーケンと言う言葉は
当てはまらないと思われる。んでぇ・・・」
「むしろ私と言う未来の新星っ☆の未来をいらだちによって失わせるという可能性があった・・・のは重罪に等しいからこの雪川葉月様と仲良くしよう!!」
文字が躍り狂っている。
んで、なんだろうか最後がおかしかったような気がする・・・。
・・・。
親指を立てていい顔するな。
というかすごく長いぞ?そして早かったぞ?
「生麦生米生卵」
「なまむみなまごめなまたまご」
おしい!しょっぱなの1文字が・・・。
「おにいちゃんすごおい!いえるんだあ!?」
得意なモンで。
「バスガス爆発ブスバスガイドっていうのがあるけどこれって実際さあ言いにくくするためにバ行とかつければいいんだよね?だったらガイドの後ろに
バアスベロベアタユタバナアッブダベニルアロバザブベボエロ・・・ってつけるといいと思わない?!・・・ハイッどーぞ!!」
「バスガス爆発ブスバスガイドバアスベ・・・ってできるかあほぅ!!」
「お兄ちゃん」
「バスガス爆発ブスバスガイドというのが~いいと思わない?までだよ?」
生麦生米生卵が言えずして何故コレがいえるんだよ。
「ちなみにガイドの後ろについてる呪文みたいなのは、『コレであなたも宇宙人の仲間入り』の176ページにある・・・もしこっちがまじめに話しかけても
手に持っているサランラップz(角が凶器)を下ろしてもらえないときのセリフだよ」
いや何そのシチュエーション・・・。
どーでもいいけど。
今日は精神的にボロボロだ。いたくなかったけど。・・・いつももいたくないけど。
・・・。
どーでもいーや
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